2011/06/23

大森地区支援

南三陸町の避難所におられる被災者支援の必要から、旭が丘団地、入谷地区へ、そして大森地区へと支援地域は広がってきました。また避難所から仮設に移られる方々への支援も考えなければならない状況です。同時にそれぞれに克服しなければならない課題があります。

ここ大森地区は海岸に面している集落で二つの行政区によって構成されています。百数十戸あった一区はわずか二軒だけを残してすべて津波に流されてしまいました。二区は少し高台にあるため約80世帯が残っています。それぞれが家族の誰かが犠牲になっているようです。しかもこの地には、支援が全然なかったというわけではないようですが、旭が丘のような継続的な支援はありません。少なくともここ二ヶ月はないというのです。

20日(月)にお米を主とした支援物資が与えられたこともあり、早速、大森地区に出かけました。支援に協力しましょうと約束していたのが先週初めですので、もし本当に支援の必要があれば待たされている気持ちが強いのではと思いました。案の定、行って見て、本当に必要としていることがよく分かりました。約束時間の午後3時頃でしたが、すでに多く方々が待ち構えておりました。

自立を妨げるような支援であってはならないと考えていますが、現状を見る限り、気持ちが折れないように、まさに前に向かって一歩、二歩と踏み出せるような支援が必要であると思います。

課題があります。この地のコミュニティーセンター(公民館)は流されてありません。ですから地域住民が集まる場所がないのです。幸い、支援活動に積極的な住民の方がご自分の住宅を開放し、またその庭先の使用を申し出られました。できれば仮設の施設が置かれ、支援センターが設置されるなら、いろいろな可能性が生まれます。私たちがボランティアチームが主導的に行えば、様々な支援活動が実現できるのではと考えています。状況を見ながら検討していきたいと思います。

もう一つの課題は、やはりここでも平等の分配原理の壁があります。物資を世帯毎に平等に分配する、一つの手法ですが、どうしても世帯毎の構成人数を考えると不平等になってしまいます。二人の世帯と5人の世帯に、世帯毎にと卵二つづつではやはり不公平になります。正しい情報と信頼関係があれば、人数毎に応じた分配が実現できると期待しています。そのような支援を実現したいと思います。聖書の教えを共有しながら、みんなで支え合う共同体になることを祈り願っています。

可能性を覚えたことの一つに積極的に任意の責任体制を作っていたことです。町内会の仕組みでなく、支援を円滑にしていくために、地域の方々が自主的に責任を担っていることです。この地への支援はもともと思いやりのある一人の男性の取り次ぎによるものでありました。ですから、この思いやりの心を大切にして、ここから、この地区の人々と共にさらに助けを必要としている方々に、人から人へと支援の輪が広がっていくことです。

明日、24日(金)に「イザヤ58ネット」(福音伝道教団)の諸教会が南三陸町のために支援物資を運んくださる予定です。大森地区の皆さんは期待して待っているようです。新たな展開になることを期待しながら取り組みたいと思います。

2011/06/19

より必要とする方々へ

ちょうど一ヶ月前に旭が丘に避難されている被災者の方々へ支援の必要を知らされました。地区の責任者の話ですと、行政ルートの支援は6月をピークに次第に細くなるだろうということです。コミュニティーセンターに避難している方々は、当初は横になって休めないほどの大勢の方々がおられたようです。現在はさほど多くありません。むしろ団地住民の方々にお世話になっている被災者の方々が約40世帯ほどおられるとのこと、また、家は大丈夫でも職を失った方々もいるということでした。この方々への支援の必要を覚えたわけです。

一つの壁、「公平」という分配の壁
町内は13班ほどの組によって構成されているわけですが、支援物資は直接の被災者も間接的な方も、この住民に公平に分けようという仕組みです。例えばペットボトルの飲料水であれば人数分が集まるまで集積し、数が揃ったところで各班に分配するわけです。あるいは各班で分け合えるようなものは各班世帯数に応じた数に分けます。世帯毎になると、世帯を構成する人数は考慮されず、二人の世帯も4人の世帯も同数の分配となりますので、最終的にはどうしても公平さの矛盾が生じてしまします。現在も、毎日のように夕方4時頃から救援物資の分配がなされています。

私たちがこの方式に応えるだけですと、ただ物資を運ぶだけになるばかりか、被災した方々との関係はほとんどない支援になってしまいます。必要な方に必要なものを提供したい、そして被災した方々と心が響き合う支援を望んでいます。何回かの話し合いをし、結果的にはこちらの押しつけのようになりましたが、支援物資を手渡す場所、公園や空き地の使用を許していただく寛大な対応をいただきました。私たち自身が支援できる機会を与えられ感謝しています。当初は本当に支援を必要としている方々の情報を得るための支援物資の提供でした。ちょうどタイミングよく「イザヤ58ネット」のボランティアチームが協力してくださることになっていましたので時宜を得た取り組みでした。

そうこしているうちに旭が丘の状況がメディアでも何度か取り上げられ、全国から旭が丘に直接に支援物資が届くようになりました。その様子を見たとき、メディアの力の大きさを感じると共に、自分たちの取り組みを進めるために、さらに知恵深い手法の必要を考えさせられました。

開かれた門
同時に、ここでの取り組みの中で出会った方々と交わされる対話は貴重な情報源になりました。先に紹介したもう少し内陸部の入谷地区への避難状況、さらには海岸線にある集落、大森地区住民への支援の必要などです。主が開いてくださった門と信じてそれぞれに訪問しました。

先週は入谷小学校に避難されている方々の必要に応じて二度訪問しました。最初は「イザヤ58ネット」のチーム(13名)と共に79人分のタオルケットを届け、皆さんと対話することができました。そして金曜日に思いがけず届いた生鮮野菜、果物を提供しました。ここでも公平の分配が働いています。個々人の必要をどのように得られるか大きな課題です。

今週は大森地区の状況をさらに知るために支援物資と共に訪問しようと計画しています。

2011/06/14

復興に至る支援

南三陸町における今後の支援の在り方を探り、情報を得るためにボランティアチームと活動をしていたときに、そこで出会った一人の男性との話しに心が動きました。支援はありがたいが、しかし、自分たちもできることを取り組まなければならない、いつまでも支援に頼っているようではだめだと思っている、ということでした。ただで受けられるものはとにかく貰っておこうという者もいて自宅に支援物資を山のように集めている、善意の支援が人間をだめにしているというのです。

地域の責任者の言葉を借りれば中には「欲得」で支援物資に集まる者もいるということです。こうした話しは南三陸町に限りません。被災の程度によるのかもしれませんが、支援する側もただ物を提供するという手法が逆効果、人間性をいっそうゆがめてしまい、地域の人間関係まで壊れるようなこともあるという現実を見せられた思いです。

そうした話題の中で、その男性が世話になっている地域のことを話されました。南三陸町の浜地区から内陸に位置する入谷地区です。この地区の人たちは3.11後、自分たちが持っている米を拠出し合って、避難された方々にいち早くおにぎりを提供されました。互いに助け合う素晴らしい取り組みであったというのです。

私たちも単に物を運ぶ救援ではなく、本当に必要としている方々に必要なものを手渡せたることを願って取り組んでいます。このような取り組みを見て、そうであれば是非、入谷地区にも行って見て欲しい、公民館館長を紹介するので一度、訪ねてみて欲しいと言われました。入谷地区はいつも通りすがりで、一見、平穏そのものです。この地区にある小学校に避難されている方々のために炊き出しがなされていることは聞いておりました。

早速、13日(月)に公民館を訪問し、館長さんに面会することができました。ここは浜地区からはだいぶ離れているので、ここに避難されている方々は車で避難できた人たちで、そのまま避難所(小学校)に留まっているとのことです。確かにこの地区は、3.11当日、歩いて避難できる場所ではないようです。高台にある小学校が避難所になっています。ここには現在でも子供8名を含む約80名ほどの方々が避難生活をしています。その校庭には仮設住宅が建てられていました。そしてこの入谷地区には292人の方々がこの地区の住民、身内などに避難されているとのことです。

基本的には自立の方向にしっかりと動き出していることが見て取れました。「グリーンウェーブ入谷構想促進委員会」が建て上げられ、「事業開発部」を設け、1,「被災者ふれあい農園及び農産加工事業」2,「避難所内職センター推進事業」3,「被災地便利屋さん推進事業」を展開しようとしていることの説明を受けました。つまり、受ける支援から自立へ、被災し職を失った人たちのために雇用を生み出し、人の人たる本質的なもの、労働することを実現しようという取り組みです。

館長さんの言葉が重く響きました。大震災のあった一ヶ月くらいは本当に助け合う人間の素晴らしさ、その美しさを見ました。しかし、その後、多くの支援、様々な支援がなされるようになって、むしろ人間関係に齟齬が生じてしまった。また、地域共同体のエゴ、地域根性の出て、南三陸町という一体感を崩すようなことが起こっているというのです。

私たちもこの入谷地区のような確かな災害復興の主体的な取り組みにつながる支援でなければならないと思います。聖書の規範でもある額に汗して働くことの大切さ、家族の建て上げや支援、そしてその地域の繁栄に貢献できることです。まさに福音をしっかり受けとめた教会の本来の在り方であったと思います。

一面的なことで軽々に判断することを注意しなければなりませんが、物を運ぶ、提供するだけ、一時の必要のために「炊き出し」をするだけのことであったり、またいわゆる「宗教的」な集まりをする、集まっていることだけしか支援のゴールが見えないとしたら、いずれまた限界に突き当たってしまうだろうと思います。

それだけに、支援をどう展開し、継続していけるのか知恵が求められます。また、私たちの限界も自覚しています。それだけに本当に理念を共有できる方々と共に連携し合いながら取り組まなければならないだろうと思います。

2011/06/09

新たなプロジェクト2

新たな情報を得て:

最近、取り組み始めた南三陸町の新しいプロジェクトについて、新たな情報を得て再考すべき課題が生じました。先週、訪問したときに得た要請に基づき、昨日8日(水)に津波被災した方々のためにズボンと下着を届けようと訪問しました。ところが情報に正確性を欠いたこともあり、被災した婦人たちだけでなく、その周辺の婦人たちまで、総勢50名ほど集まっていました。

幸い、地元の婦人で、リーダー的存在のFさんの機転と協力で、被災した方々とそうでいない方々に分けていただき、混乱なく対応することができました。今回は集まった方々に各種、各サイズのズボンを見ていただき、必要としている方々に記名していただくことにしました。一人だけの場合はそのまま渡し、複数の方々のために、数名の場合だけに限って、互いに譲り合って受け取っていただき、そして記名していただいた方々のためには次回、お渡しすることを約束しました。下着や肌着類は津波被災の方々にすべてお渡しすることができました。前回の訪問の時に泥水のシミの付いた肌着を見せていただいたとき、その必要性を実感していたのです。

生活状況の変化の中での被災者優先の支援活動:
今回、ここ旭が丘には水道が回復したと聞き、一応、ライフラインは回復したことになります。しかし、水道は塩分や砂が混じっていて飲み水には不適当のようです。そして、宅急便が動いていますし、生協の家庭班とか商品配送サービスが可能のようです。ですから、経済的にゆとりのある方々は、ある程度の生活は維持できるということです。

この旭が丘は避難している被災者(40世帯)と被災者ではない住民(160世帯)、その中には被災者を受け入れている方々がいて、被災者と被災を免れた方々と共に住む特異な場所です。今回集まった人々の動向を見て、この旭が丘における支援活動は、優先順位として、まず被災した方々を対象にすべきだということがよく分かりました。しかし、仮に家屋の被害は全くなかったとは言え、今回の震災で職を失った方々もおられるようです。ですから単純に家を流された人、そうでいない人と分けてしまうことの困難さもあります。それだけに、今後も支援を続けるとしたら、よりいっそう知恵深い手法が求められます。私たちは単に欲しい物資を闇雲に渡してしまうという支援ではありませんので、よりいっそう正確な情報を得る取り組みの必要を覚えております。

支え合う共同体:
今回の衣料品の提供において、おそらく直接の被災者ではない方だろうと思いますが、多少でも代金を払ってでもいいので、衣料品を分けて欲しいと申出られた方がいます。理由は近くに店がなく、買いたくても手に入れられないというわけです。ならば、私たちは商売人ではなく、本当に困窮している人たちを支援することが目的ですので、先ほどのような方々に必要な物は提供するが同時に、支援金として自由に寄付していただき、それらを必要している方々への資金にすることも一つの方法ではないかと考えています。

日が経つにつれ、被災された方々は順次、仮設住宅に移っていくだろうと思われます。数日に前にニュースでも取り上げられていましたが、南三陸町では仮設住宅への入居が決まっても、その70パーセントの方々が実際には入居していないことが問題になりました。その理由は自立に対する不安があることです。つまり、避難所から出ることで救援物資は得られなくなり、自分で調達するのは困難であるとか、収入がないとか、水道がまだ回復していない、また車がなく行動できないといった理由があげられています。いずれにせよ、ここでつながった隣人には、仮に仮設住宅に移ったとしても不安がないように、自ら前に一歩踏み出せるような支援を実現することができたらと考えています。具体的にそれをどう実現するか新たな課題です。

今後の支援の方針を定めるために、明日10日(金)、次週14日(火)~15日(水)にボランティアチームと共に訪問し、本当に必要としている方々の情報を得るように、また地域の皆さんにも協力を得られるように取り組みたいと願っています。

2011/06/07

隣人になろう!

今週から本格的に始まろうとしている支援プロジェクトについて、どのような考えで取り組もうとしているのかをお伝えしたいと思います。当面は共通して必要と思われる生活支援物資を準備し、提供しながら、個々の必要に関する確かな情報を得ることです。その上で、できる限り、その必要に応えられるようにしていきたいと願っています。その支援についても、単に物だけでない支援を実現できるなら幸いです。例えば、子供たちへの教育支援等々です。

私たちが単独でできる支援はごく一部です。こうした働きのために、多くの諸教会、兄弟姉妹、クリスチャン団体にの協力によって成り立っています。

--------------準備するチラシ-------------------------   

隣人からの贈りもの

私たちの取り組み: 私たちは隣人の一人として、本当に支援を必要としている方々の必要に応えようと、志を一つにするクリスチャン家族の方々と協力して仕えています。そして提供される支援物資は国内外から、同じように地球村の隣人として、この緊急時に自分たちの必要を押さえてでも、今必要としている方々に最善のものを献げようという教会家族の方々から贈られるものです。

そこで私たちの思いを実現するために、まず、本当に必要としているものが何であるかを正確に知りたいと思っています。私たちのできることは限られるかもしれませんが、是非遠慮なく必要を教えてくださればと思います。

私たちの目指すゴール: 
※ 皆さんが一歩でも、いや半歩でも前に進むことができるお手伝いをすること。
※ 皆さんが同じ被災者として、お互い支援し、支え合う真の隣人として活動を共有できるようになっていただけること。

災害復興支援SBSネットワーク

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支援物資の必要について: 今、もっとも必要としているものは何ですか。
1.
2.
3.
(支援物資以外の支援について)


支援を希望するあなたのお名前: 次回お渡しする時に確実に手渡せるために、お互いを確認し合える愛称を記してください。(例:「2丁目の森のカエル」さん。もちろん実名も可。)


被災状況: 差し支えない限りで結構です。今後の支援をしていく上での参考とさせていただければと思います。