2012/03/31

大森地区コミュニティーセンターを!

私たちはこの一年間、南三陸町の在宅被災者支援をも数カ所で継続してきました。その一つが大森地区です。この大森地区から要望があって今週訪問しました。コミュニティセンターの必要です。

大森は二区によって構成されていましたが、一区はほぼ壊滅的な津波被害を受けました。二区は高台にあるため直接の被害を免れました。約70世帯ほどです。そして海岸の方にあったコミュニティセンターも津波によって失われてしまいました。

一年経った今も町内としての機能を果たせなくなっており、かつての住民同士の信頼関係も薄らいでいると言います。その理由の一つに支援の在り方にあるようですし、何よりも共に集まって話し合う機会を失っていることです。ですから集まる場所が欲しい、住民の要望が高まっている理由です。

さらに以前から「スミレ会」という高齢者の方々の集まりがあり定期的な会合を持っていました。それが今回の大震災でできなくなり、現在は代表の方の自宅で集まりをしているとことです。この代表の方の自宅は半壊で修復したそうです。

こうした中で何とか共に集まる集会所を持ちたいという強い要望があります。区長さんを通して役所の方にも要請したそうですが、庁舎自体がリースで維持しているので予算の見通しがたたないと言うのです。各仮設住宅には集会所が設置されています。在宅の方々もその集会所が流されてしまったわけですので集会所を再開できるようにするのも大切な支援の対象になると思うのですが、家が残っている、ということのゆえに顧みられないのが実情です。

今回も地区の班長さんたちと話し合ったのですが、ここにいる高齢者の方々が支え合うためにも必要だし、また何よりも津波によって家を失い、それぞれがそれぞれの仮設住宅にいる方々も大森地区に集会所できれば互いに再会し、交流できると言うのです。むしろ、ここにいる人たち以上にコミュニティセンターの必要を願っているとのことでした。

町の復興はこうした住民の持っていた共同体を再興することから始めるべきだろうと思います。息の長い復興の取り組み、忍耐を求められる町の復興、まずは住民の一致団結できる仕組みから取り組むべきだろうと思います。

課題は土地です。最近になって貸していいという方がおり、見通しが立ったとのことです。であればまずはプレハブでもいいわけでなんと早期に実現できないかと願っています。

この情報に目をとめていただいた方々にお願いです。この支援の具体化のために知恵をください。具体的な資金の見通しのために協力できる方がいれば紹介していただきたいのです。

デイサーヴィスと一緒になったセンターとか、日常品の販売が可能な売店のあるセンターとか、いろいろアイデアはあると思います。

2012/03/28

フラー神学校関係者を迎えて

先週21~22日はフラー神学校関係者たちを被災地に案内して回りました。21日は塩釜聖書バプテスト教会の取り組み、前日の20日に落成式が行われたボランティアセンターの働き等について紹介していただいた。塩釜教会は被災地、多賀城市の少し高台にあるために津波の直接被害はありませんでした。被災地支援のセンター的教会として周辺の被災した町々の支援活動を積極的に行っています。そして石巻では「祈りの家」の阿部一さんたちが取り組んできた津波被災住宅の修復ボランティア活動について紹介していただきました。私どもSBSネットも当初から協力してきた働きです。その中心的な働きを担っておられるルーテル同胞のベンソン宣教師は都合で同行できませんでしたが、共に労する阿部さんの協力に感謝しています。

そして翌日は南三陸町に出かけました。ここではいよいよ具体化したクリスチャンセンターの設置について、建設予定地を回りながら今後の働き、支援と宣教のために祈りを共にしました。中心になって働きを進めてきた聖協団の中澤竜生牧師の協力に感謝しています。町全体の復興にキリストの福音が反映されるように願っています。とてもスケールの大きな支援と宣教の業がなされようとしています。そしてわずかな時間でしたが波伝谷の仮設住宅にも立ち寄り、教授たちが実際に被災者との対話の時を持つことができました。

23日は東京での東日本大震災「国際シンポジウム」が駒込にある聖学院で開催されました。サブタイトルが「いかにしてもう一度立ち上がるか:これからの100 年を見据えて」と、とても大きなテーマ、視点で企画されています。総合司会は倉沢正則氏(東京基督教大学学長、宣教学)、そしてフラー神学校の教授を中心に東京基督教大学、聖学院大学の教授たちによる講演です。講演者以下の方々です。

Juan Martinez  フラー神学校准教授、異文化国際プログラム学務担当副学部長。

Glen Stassen  フラー神学校教授、キリスト教倫理学。

大木英夫  聖学院大学総合研究所所長、組織神学。

山口陽一  東京基督神学校校長、東京基督教大学教授、日本キリスト教史。

藤原淳賀  聖学院大学総合研究所教授、キリスト教倫理学。

そして私は被災地からの報告発題、特に支援の在り方、考え方に対する神学的考察について発題する機会を与えれました。震災を期に日本のキリスト教界が教派を超えて一つになって取り組もうとする機運、流れを感じました。しかし実際には向き合うべき大きな課題があります。気づくべきところにしっかり気づいて取り組むことができたらと願うものです。250人ほどの参加者、大盛況でした。

今後の被災地での支援活動計画として、イザヤ58ネットの呼びかけに応えてくださった福音伝道教団の皆さんから提供された衣類関係を届けます。また定期的に続いている歌津や大上坊の方々に生活消費材を提供す予定になっています。

また定期的に本、絵本を届けることに合わせて素晴らしい贈り物が届けられました。JECAの西堀キリスト教会の婦人会の皆さんからのかわいらしいストラップの贈り物です。これまでもそうであったように一つ一つとても丁寧に、メッセージの込められた贈り物を準備してくださいました。一つも無駄になることのないように届けたいと思っています。

4月中旬には10日ほどオレゴンにある日本人教会のボランティアチームが来日します。せっかくの奉仕、十分に対応できるように準備中です。子供たちのための英語学習支援なども行う予定です。

また4月下旬ないし5月初めに「南三陸町を支えるキリスト者ネットワーク」によって南三陸町に設置される「クリスチャンセンター」の開所式が行われる予定です。今月末にはプレハブの住宅が設置工事がなされるとのことです。ことがスムースに進められることを願う者です。

2012/03/16

大森地区支援

今週は「イザヤ58ネット」(7名)の皆さんがボランティア活動に取り組みました。福音伝道教団の諸教会から献品された生活消費材を届けることになりました。初日12日(月)は三月も半ばというのに仙台は雪、吹雪いています。そして現地に向かう翌13日(火)は朝からしんしんと雪が降っているのです。10センチほど積もっているだろうか、とても寒い朝です。

13日(火)は南三陸町の大森地区の皆さんに届けられました。あらかじめ諸教会に呼びかけてくださって集められた物資はロングの二トントラックいっぱいです。効率よく提供するためにいったん全部下ろして、仕分け作業です。米、30キロ、10キロ、5キロ、3キロ、2キロ入り、また家にあるものから取り分けられたと思われる個別の袋入りなどと様々です。献品された皆さんの暖かい心が見えてくるような光景です。さらに味噌、醤油、砂糖、油、さらに各種洗剤、トイレットペーパー、ティッシュペーパー等々です。トイレットペーパーの多くは首都圏の基督聖協団の教会からの提供とのことです。大森地区約80世帯分を積み込み現地に向かいました。

最近は昨年前半ほど頻繁に物資を届けていません。あってもお米など単品で、今回のようにまとまったものとしてはしばらくぶりとなります。以前ほど緊急性はないものの、町全体の復興が遅れているわけで、生活支援があれば励みになるという状況です。住民の方も「米と味噌・醤油、油さえあれば」と多くのことを求めているわけではありません。特に高齢者の方々からは感謝の言葉が返ってきます。皆さんが口するのが「仕事がない」ということです。町自体が、一部の企業を除いて復興にはほど遠い状態にあります。最近30代の方が自ら命を絶ったことが報じられたそうです。とても気になったことは、これからさらにこうしたことが起こるのではないかとの現地の方々の発言です。

ここ大森地区は二区になっていて、一区は残ったのは二軒だけで大半が津波で流されてしまいました。二区は高台に位置し直接の津波被害を免れた地域です。支援物資はないわけではありませんが、一部に偏っているとのことです。こうした良き業、支援がかえって住民の人間関係を壊してしまう現実を重く受け止めています。取り組み如何によっては私たちもその人間関係を壊す要因になりかねないのです。ここに聖書の教えがあり、福音のメッセージがあると思っています。

2012/03/11

3.11大震災、あれから一年

「3.11大震災」あれから一年、不思議な感覚です。瞬く間に過ぎ去った一年でもあり、失ってしまったような一年でもあります。今日11日、各地で追悼の祈りがなされました。私たちキリスト者にとって主日礼拝の日、被災地の人々を思いつつ礼拝の時を持ちました。被災地で求められるのは生き方の伴う支援です。宗教的クリスチャンではなく真のクリスチャン、古きに死んで新しさに生きるキリスト者です。

新年を迎えて3月にもなるというのに情報発信をできずに、と言うより怠ってしまいました。一月からは特に被災地の子供たちを意識して図書の提供を始めました。また新年の挨拶を願って私たちの支援に関係している方々を訪問し、今の状況について話を聞きました。大上坊、桝沢、大森地区の代表の方々です。この地区でのまとめ役、中心になっていただいている方々で、この方々を介してその地区の支援を行っています。支援も押しつけにならないようによく話し合って情報を得ながら取り組んでいます。これらの地区は在宅被災者の方々が多く住むところです。仮設住宅は戸倉地区の切曽木、波伝谷、また中瀬地区、岩沢地区などです。

2月に入っていくつか大切な集まりがありました。2月6日には御茶ノ水クリスチャンセンターにおいてJEAの「宣教シンポジウム」が開催され発題の機会が与えられました。3.11大震災を契機に教会のパラダイム転換を提言しました。つまり、教会は元々地域社会の繁栄をもとめ寄与、貢献する共同体であったこと、支援と宣教は切り離せなさず、一体のものとしてなされていたのです。

2月20日には「南三陸町を支えるキリスト者ネットワーク」の集まりが神学校を会場に開かれました。新たな段階に進む当たって、南三陸町の文化について学んだり、拠点となるセンター設置の構想など、有志が共に集まって話し合いました。特に震災発生当初から中心となって南三陸町の被災者支援に取り組んできた基督聖協団の中澤竜生牧師の働きは大きい。良き隣人として誠実に取り組む支援活動によって育まれた地元の方々との信頼関係は次の段階に進展させるベースになっています。

今週は「イザヤ58ネット」の皆さんが支援活動に励まれます。今回は南三陸町と石巻を訪問します。福音伝道教団を中心に生活消費財関連の支援物資を提供してくださる予定です。

4月中旬にはオレゴン州ポートランドにある日本人教会の有志の皆さんがボランティアチーム作って来日します。被災地の子供たちへのプログラムを予定しています。